聖杯を追え Holy Grail 2017 7 22

「金属水素の聖杯を追う」
 私は、10年以上前に、
「水素がわかる本」(小波 秀雄 工業調査会)という本を紹介しました。
 この本によると、
1968年、アメリカのアシュクロフトは、
超伝導に関するBCS理論から、
水素が高温超伝導物質になりうるという理論的予測を発表している。
それも、常温付近でも超伝導を示すという魅力的な話である。
ただし、そのために必要な圧力は、少なくとも400GPaと、極めて高い。
 金属水素の安定的な育成への道のりは、まだまだ遠く、
科学者の夢の領域にあると言える。
 まして、その先にそびえる常温超伝導水素という目標は、
はるかな彼方にある。
(引用、以上)
 しかしながら、人類の歴史は、
夢を実現してきた歴史と言えるのです。
 たとえ、夢の彼方にあるとしても、
夢を追い続ける過程で、副産物として、
偉大な発見があったのも、人類の歴史です。
 常識をはるかに超えた物性を持つ素材を作ることが、
21世紀の「Holy Grail」(至高の目標)でしょう。
(補足)
 通常の気体物質は、温度を下げていくと、
液体→固体へと相転移を起こす。
 また、圧力を上げていっても、
同様に状態が変化していく。
(この本から引用)

2016年12月12日の日本経済新聞Web刊には、興味深い記事がありました。

 ドイツのマックスプランク協会が2015年に発表した、
硫化水素で超電導を確認した報告は、世界の材料研究者の関心を呼んだ。
 「水素を金属状態にすると超電導になる」という理論的な予測があり、
水素の代わりに硫化水素を150万気圧以上の超高圧装置の中に閉じ込めて、
金属状態にすることで実現を目指した。
この実験では、超電導になる温度は零下70度と予想以上に高い結果が出たことが、特に注目された。
 大阪大学の清水克哉教授は、
「重要なマイルストーンと言える。
通常の圧力でも室温超電導になる物質の発見や合成につながっていく研究だ」ととらえている。
(引用、以上)































































































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